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DIVE!! <森絵都> [電車で読書]

DIVE !!

DIVE!!〈上〉

DIVE!!〈上〉

  • 作者: 森 絵都
  • 出版社/メーカー: 角川書店
  • 発売日: 2006/06
  • メディア: 文庫

DIVE!!〈下〉

DIVE!!〈下〉

  • 作者: 森 絵都
  • 出版社/メーカー: 角川書店
  • 発売日: 2006/06
  • メディア: 文庫

電車の中でコトコトとおよそ2週間くらいかけて読み終わりました。
終わらないでほしかったなぁ。
もっと、この世界に浸ってたかったです。梅雨も吹き飛ばしてくれるくらい爽やかで元気な気分になれるお話でした
物語は3人のダイビングをしている男の子(高校生)の視点で描かれるのですが、この3人がとても魅力的。

坂井知季。「ダイヤモンドの瞳(すばらしい動態視力)」と「二重関節」という恵まれた能力の持ち主。無邪気で、素直。自分にその能力があることに気づかず、物語スタート時には、その能力を活かしきれていない。
富士谷要一。両親が飛び込みの選手というサラブレッド。3人の中では一番キャリアがあり、結果も残しているエリート。とことんストイック。
沖津飛沫。戦争のために日の目を見ることはなかった伝説の天才ダイバーの孫。物語が始まる直前まで青森の海に飛び込んでいたという野生児。不遇の祖父を憂い、飛び込みに批判的。

はじめは、坂井知季が主人公なのかな、と思って、2人はライバルとしてでてきたと思ったんですよね。だから、「いずれは倒される」存在としているんだろうな、と。でも、そうじゃなく、それぞれが、それぞれに自分の物語をせいいっぱいに生きていて、凄く魅力的でした。
みんな、才能に溢れる「天才」なんだけど、苦労を知らない天才は一人もいなくて、だから「する気はなかったんだけど、うっかりできちゃった」とか、そんなことは起こらず、技を習得するにも、気が遠くなるような、胃液を吐くような思いをして飛び込み、せっかく決まったチャンスに納得が行かずひたすら悩んだり、腰を悪くしてもう新たな技に挑戦できなくなり、自分は何の為に飛ぶのかがわからなくなり、祖父がやってきたことの意味を探したり、とてもぶきっちょで、悩みながらに、自分で答えを見つけて行く姿勢が前向きで心地良かったです。

試合のシーンも良かったなぁ・・・。
実況中継風ではなくて、飛び立つ直前までは、飛ぶ本人の心理描写。飛んだ後の結果は読者には淡々と発表される。
なんか、電車の中で、ゾクゾク、ブルブルっとする感じがあって困りました。
主人公が勝つのが当たり前(主人公が誰だかもよくわからなくなっていたし)・・・と思う部分がなくなり、最後には誰が勝ってもおかしくないな・・・と思えていたので、けっこうハラハラしました。

人と人の絆を大切にした温かいシーンがちょいちょいでてきてそれもよかったです。
・飛沫の彼女が将来をどうしようか思い悩んでいる時、彼女のおばあさんは「その時周りにいる人間と家族になればいいんだ」という。
こういう生き方ができると、幸せだろうなと思った。
・オリンピック選考会で発熱に苦しむ要一。出番なのに、カラダが動かず、台までの階段を上れない。それまで、ビミョウに牽制しあっていたライバルが「おまえが上らないなら、おれも上らないし、他の選手もおまえを抜いては上らないだろう」って。
要一のことをみんなが認めているんだと思うと、凄くいいなと思いました。
・知季の才能を見抜けなかったと知季に謝るコーチに、「今までの全てがあって今の自分がいる」という知季。
自分よりも随分年下の知季に「才能を見抜けなかった」と声をかけられるコーチも凄いと思う。(演技ができないと失格・・・。)それをゆったりと受け入れられる知季も凄いけど。日常の一部にお互いがなっている、そういう関係なのだと思います。

有能な女性コーチ(夏陽子)もとても魅力的なキャラクターでした。
彼女は、「憂鬱な日は気持ちを前向きに持っていくため、あえて心とは反対の行動をとることにしている」らしいのですが、そうやってがんばろうとしている所がいいなと思いました。(本当は弱い部分も持ってるし悩む彼女だから、「がんばろう」としていることが凄いと思うんですよね・・・。行動力とか・・。)
彼女には共感できたり、励まされる部分がいっぱいありました。

みんな魅力的だったなぁ・・・。
マンガとか実写でも見てみたい!。きっと爽やかないいものができると思うんですよね。


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